じゃがいも少年のエンタメHISTORY

神戸生まれ神戸育ちの丸坊主いがぐり中学生が後にバンドでメジャーデビューし、バンド解散後、芸能事務所の音楽制作スタッフとして拾われ、大御所芸能人Kの運転手兼付き人を経て、敏腕!?マネージャーになるまでの思い出と、そんなじゃがいも少年から見た当時の特殊な芸能界の裏側なんかの記録を綴ります。

初音楽室LIVE

じゃがいも少年の新しいバンドはOがボーカルではなくギターというポジションながら、かなり理想に近い状態で、BOOWYのコピーを中心にドンドンレパートリーを増やしていき、遂に念願の初LIVEを行うことになりました。

 

LIVE会場はOのバンドの練習場所でもある文化センターの音楽室でした。
Oのバンドは中学の卒業LIVE以来、定期的にこの文化センターの音楽室LIVEを実施しており、ステージはないながらもパイプイスが豊富にあり、適当にイスを並べて東急ハンズで売っているチケットを200円で友達に販売する高校生らしい健全なLIVE運営でした。

その憧れの音楽室LIVEのステージ(ありませんが)に立てるということで、じゃがいも少年ははりきってチケットを捌きました。

LIVE当日、バンドをクビにした元ボーカルのバレー部のSや元ドラムのYも駆けつけてくれ、客席にはかなりの同級生達が集まってくれました。

LIVEの構成はほぼBOOWYのコピー曲で、演奏が始まるとみんなが「うまい!うまい!」と絶賛してくれ、じゃがいも少年は人前で演奏する快感を覚えたのでありました。

 

それからこの文化センターでの音楽室LIVEは、この界隈ではちょっとしたムーブメントとなり、同級生内で他のバンドもちょこちょこ現れて、複数のバンドが交替でLIVEを行う、いわゆる対バン形式のイベントが活性化していきました。

バンド結成

じゃがいも少年は、その才能に惚れ込んで追っかけをしていたクラスメイトのOにベースの腕前を認められ、O自身もギターの腕前を上げたいということで利害関係が一致し、ベースはじゃがいも少年、ドラムが初心者のY、ギターがバンドを掛け持ちという形でOとなり、バンドの要ボーカル探しを行うことに。

 

じゃがいも少年のやりたかったTHE BOOMは初心者ドラマーYにとって難し過ぎた為、ひたすら8ビートを刻むTHE BLUE HEARTSを中心にコピーすることに。

 

誰かボーカルはいないかと探す中、高校2年でじゃがいも少年と同じクラスになったバレー部のエース、丸坊主のSがボーカルとして名乗り出ました。
丸坊主ということでブルーハーツには持って来いでしたが、やはりSも部活が忙しく思う様に練習出来ません。

更にドラムのSも彼女が出来たり、部活の方が忙しくなって来た様子だったので、じゃがいも少年とOは結託してOの元々のバンドのドラムFに加入してもらうことにして、SとYをクビにしました。

 

じゃがいも少年がベース、ドラムがF、ギターがOということで、Oの悪友でありバスケ部の半分幽霊部員のイケメンAをボーカルとして迎え入れ、新しいバンドが誕生しました。

初スタジオ

クラスメイトのOの追っかけをやりながら、自分でも早くバンドがやりたくてたまらないじゃがいも少年。

 

まだ一度も練習もしたこともなかった仮のバンドはフェードアウトしたので新たにメンバーを探すことに。

 

Oのバンドのライブを観に行っていたクラスメイトのハンドボール部のYに話を持ちかけると、ドラムに興味があると言うので、半ば強引に一緒にバンドをやることに持って行き、当時じゃがいも少年がベースを練習しまくっていたTHE BOOMの星のラブレターのバンドスコアのコピーをYに渡し、電話帳でも少年ジャンプでも何でもいいから、家で何か厚みのある雑誌なんかを並べて叩いてドラムの練習をしておくように促しました。

 

それからしばらくして、とにかく一度スタジオに入って本物のドラムを叩いてみて感覚を掴んでみようと、これまた強引にスケジュールを合わせて、阪神御影駅近くにあった小さな音楽スタジオを予約して、Yと一緒に練習してみることになりました。

 

ありがたいことに、Oがその練習に遊びに来てくれることになり、いざその小さなスタジオに入ったじゃがいも少年達。

 

初めて入ったスタジオには当たり前ですが、ドラムセットやギターアンプ、ベースアンプ、マイクなどが揃っていて、念願の初バンド練習にドキドキするじゃがいも少年。

 

Yはおぼつかない調子でドラムセットに座り、当然ほとんど何も出来ない状態なのですが、とにかくベースとドラムだけで星のラブレターを演奏してみることに。

 

星のラブレターはドラム初心者には相当難しい楽曲で、変則的なリズムで曲が進行していき、初めてドラムを触るYは一小節もまともに叩けなかったのですが、これまで家で死ぬほどこの曲のベースを練習していたじゃがいも少年は、大きなベースアンプから大きな音が出ているという喜びを味わう余裕はないながら、練習通りベースを弾いて、曲を引っ張りました。

 

じゃがいも少年のベースを聴いたOは目を丸くして、「めちゃめちゃベースうまいやん!」と絶賛してくれ、一緒にバンドをやろう!と言ってくれたのでした。

追っかけ

クラスメイトのOの才能に惚れ込んだじゃがいも少年は、それから必ずOのバンドの練習に顔を出すようになり、いつしか自他認めるOの追っかけとなっていきました。

 

一方じゃがいも少年のバンドの方はメンバーは相変わらず部活が忙しく、一度も練習せぬままフェードアウトしていってしまいました。

 

じゃがいも少年はOとバンドを組みたくてたまりませんでしたが、Oは中学時代からのバンドがあります。


そのOのバンドのベースが早く脱退してくれないかと本気で願っていましたが、その想いとは裏腹にOのバンドは人気が出て来て、高校生ながらライブハウスでLIVEをしてその時の写真がライブハウスの入口前のショーケースに貼り出されたり、初めてレコーディングしたOのバンドのオリジナル曲を昼休みの校内放送で流したり、その活動をうらやましく思いながら、じゃがいも少年は一番のファンとしてくっついているしかない状況でした。

 

そんな中転機が訪れます。

直感

じゃがいも少年の高1のクラスメイトのOとFのバンドはブルーハーツやジュンスカをコピーしており、その練習スタジオである文化センターの音楽室に遊びに行かせてもらったじゃがいも少年。


曲の練習が始まると荒削りながら高1とは思えないアンサンブルに「うおー!カッコえー!」とますますバンド魂に火が点くじゃがいも少年。

 

そんな中、そのバンドのボーカルであるOが作詞作曲したというオリジナルのクリスマスソングの練習が始まり、その曲を聴いた瞬間、じゃがいも少年にビビビと電流が流れました。

 

「彼は間違いなくプロになる!」

 

じゃがいも少年は直感的にそう思い、それからOのバンド、いやOの追っかけの日々が始まることとなりました。

クラスメイト

どんどんベースにのめりこんでいくじゃがいも少年は、早くバンドとしての練習を始めたくてたまらなくなり、同じクラスのバンドメンバーに自分の演奏してみたい曲のバンドスコアをコピーして渡したりと積極的にバンド活動を進めようとしましたが、そんな気持ちとは裏腹にドラムのKもギターのHも部活動が忙しく、なかなかバンド活動を始められません。
Hに至ってはまだギターも買っていないという状態でした。

 

そんなやきもきする日々の中、同じクラスのOとFが既にバンドを組んで活動しているという情報をキャッチし、早速接触を図ったじゃがいも少年。

OがボーカルでFがドラム。それと別のクラスの陸上部のHがギターでベースが既に働いているというBという同じ中学出身の4人で既に中学時代からバンドを組んで活動しているというのです。

聞けば2週間に1回程のペースでO達の地元でバンドの練習をしているということで、次の練習の時に見学に行かせてもらうことになりました。

 

O達は主に地元の文化センターの音楽室を練習の拠点としており、その音楽室にはドラムセットとギターアンプ、ベースアンプ、マイクセット等が揃っており、17:30〜21:00の3時間半で3,800円程度で借りられる、お金のない高校生にはもってこいのスタジオでした。

 

じゃがいも少年はワクワクしながらその練習に遊びに行かせてもらい、そこで衝撃を受けることになったのです。

バンドスコア

高1の冬休み、じゃがいも少年は初めての郵便局でのアルバイトで稼いだお金で、三ノ宮の楽器屋さんに行き、ベースと練習用アンプ、それにそれをつなぐシールド(ケーブル)やチューナー、ピックやストラップや替えの弦などの備品も揃え、次はバンドスコアと呼ばれる楽譜をYAMAHAのお店に買いに行きました。

 

当時ハマっていたUNICORNの2ndアルバム「PANIC ATTACK」やTHE BOOMの1stアルバム「Peacetime boom」のバンドスコアを見つけ、確か当時1冊2,000円×2冊の大金をはたき、早速家で練習を始めたじゃがいも少年。

 

最初はチューナーの使い方が分からずいきなり弦を巻き過ぎて切ってしまったり、四苦八苦でしたが、バンドスコアのTAB譜と呼ばれる初心者にも優しい指使いの楽譜を見ながらベースを練習しまくるじゃがいも少年。

 

ベースの練習は楽しく、毎日何度も何度も練習することで少しずつ弾けるようになり、CDに合わせてベースを弾いてミスなく付いていけるようになっていくのが快感となり、じゃがいも少年はどっぷりベースにのめり込んでいきました。

 

特に大好きだったTHE BOOMの「星のラブレター」や、簡単そうだと思って練習を始めたUNICORNの「ツイストで目を覚ませ」のベースラインはあちこちに指が動き回ったり、難しい音符が出てきたりと初心者向きではなかったのですが、ベースとはこういうものだという思い込みから、その曲達を必死で練習したことで、じゃがいも少年はメキメキとベースの腕前が上がっていきました。